

ページを開いた瞬間から、世界観に惹きこまれていきます。

少女漫画好きならだれもが聞いたことのある、萩尾望都先生の作品、名作中の名作「トーマの心臓」。
萩尾望都先生の作品の中で、最初に「ポーの一族」を読んで、それからどうしても見たくなって、最初に読んだのは京都へ旅行した時に友達と行った、京都国際マンガミュージアムで。外国人観光客に囲まれながら、読みました。あとから思えば、異国の空気感の中で読めてよかったのかもw
「誰がユーリを殺したのか」を軸にして、複雑にからみあっていくキャラクターたち。どの登場人物にも自分を重ねられない、ようでいてそれぞれの感情にシンクロして心が揺れる。

唯一無二、ほんまに不思議な作品です。
サスペンスなのか、学園モノなのか、っていう言葉を並べるのが不自然に思える、どんなジャンルにも属さない、不可解さに魅了されてまいました。
10代特有の瑞々しさと残酷さを感じながら読み進めていくと、文学小説を読み解くような難解さを感じるんですが、なぜか途中でページを閉じることができない。
他の人の感想を見てみたら、人間の愛や宗教観を描いた、とある。

なるほど、そうなんだと思ってもう一度読んでみると、
また違った「分からない」感情が湧いてくる。
舞台がドイツだっていうのもあるし、宗教観が強いってこともあって、2人の主人公であるトーマとユーリ、のどちらにも自分を重ねることができるようでいて、できない。

たぶん、海外からの反応の方が強いんじゃないかなあ、と。
いろんな感情が自分の中でぶわぶわあふれてくる、めちゃくちゃ深いマンガや思います。
エンタメかと言われれば違うような気がして。だけど何度も読みたくなる魅力があって、ちゃんとやっぱり「少女マンガ」なんです。
とにかく一度読んでみて、となる最たる名作マンガです。
作品情報
1974年に雑誌「週刊少女コミック」で連載された少女漫画。
2009年には小説家森博嗣が執筆しノベライズ化されている。
あらすじ
舞台はドイツの高等中学校「ギムナジウム」。
とある雪の日、生徒であるトーマ・ヴェルナーが橋から身を投げた。 騒然とする校内で、トーマからの遺書を受け取った優等生のユーリ。彼は死の原因が自分であることを知り、ショックを受ける。
残酷な先輩サイフリートにギリリと胸が傷つけられる[結末ネタバレナシ]
最初、なんの先入観もなしに読んだ時、不良生徒のサイフリートに正直惹かれてました。ある意味、この作品の中で一番、分かりやすい人なんです。

彼はユーリにとって、「負」の存在。
他の人の感想を見ていくうちに、そっか、そうなんだと気づいて、気づいてからはサイフリートを憎みたくなる。ユーリの死の原因なんじゃないの? と思うほど。
たぶん、薄っぺらいストーリーなら、サイフリートがユーリを殺したと言えるんです。
だけど違うんですよね、ユーリはサイフリートに陥れられたけど、彼の魅力にも傾いている部分があって、サイフリートの行動がユーリを深く傷つけたんだけど、サイフリートに引き寄せられてしまったユーリの”自分自身”が自分を責めて苦しめる、んです。
この作品の中で、サイフリートが一番シンプルなキャラクターなんじゃないかなあって思いました。

といっても、この世界観の中でだけ、ですが……。
彼が象徴するものはいったいなんなのか、どろどろと惹きこまれていきました。
原作者情報
| ジャンル | 少女マンガ |
| 作者 | 萩尾望都 |
| 主な代表作 | ポーの一族 百億の昼と千億の夜 半神 11人いる! トーマの心臓 イグアナの娘 一度きりの大泉の話 スター・レッド 残酷な神が支配する 11月のギムナジウム 訪問者 ウは宇宙船のウ A-A’ バルバラ異界 マージナル 王妃マルゴ -La Reine Margot- 山へ行く 10月の少女たち メッセージ 銀の三角 あぶな坂HOTEL フラワー・フェスティバル AWAY-アウェイ- ルルとミミ なのはな 感謝知らずの男 あぶない丘の家 海のアリア ゴールデンライラック 銀の船と青い海 ビアンカ 完全犯罪フェアリー スフィンクス ローマへの道 美しの神の伝え |